旅について 1
生まれてはじめての旅は、
4年生の頃の「ほうろうのたび」って遊び。
道に木の枝を立てて放し、倒れた方向に進む。分かれ道に来たらまた倒して、また進む。
小学生の小さな生活圏を出て、少しだけ見知らぬ場所に行ける冒険。
実際はうまい方向に倒れなくて、同じ道を行ったり来たりするんだけどさ。
小さい頃から「遠く」に憧れてた。
意識してたのかはわからないけれど、高校は家から離れたところを選んだ。
大学も出来るだけ遠くへ行きたくて、沖縄を選んだ。
home が嫌いなわけじゃない。むしろ好きだし、離れていればいるほど、その思いは強くなるしね。
ただ、home は帰る場所にしたかったのかな?
思い出してみたら、そんな10代。
もっともっと遠くへ。誰も知らない場所へ。世界の果てへ。
世界の果てってどこ?って聞かれてもわからないけれど、
今の時代、果てなんてないのかもしれないけれど、
そこに行って何が得られるの?
なんの為にそこに行くの?
それはたぶん、あの感覚を味わいたいから。
見知らぬ土地から土地へ向かうバスの中、窓から見える景色。
なんてことない風景なのに、ふとした瞬間、突然こみ上げてくる高揚感。
今、ここにいるんだ。って感じた時、一瞬の中に全ての憧れとロマンと好奇心が、煌めいて、渦巻いて、心臓の中で膨れ上がる。
何なのかよくわからないけど。
あの感覚が忘れられないから。
だから旅をしよう。
初めて一人で電車に乗って行った6才の街も、
帰りの時間を考えず、夜まで自転車を漕いで行った13才の隣街の隣街も、
18切符で初めて行った17才の一人旅も、
相棒と行った18才のバックパックも、
わくわくする感覚があって、それがなんとも言えない幸福だった。
このところ出発を前にして、なぜ旅がしたいのかを考える。
いろんな目的を付ける、、必要がある。
先のことを考えるから。将来を考えるから。
けれど、まずは、この感覚。忘れないようにしたいな。