ゆるーい百姓兄弟|スペイン・大工と農夫のテキトー・スタイル

Tramp(放浪)の名にふさわしく、なんとも無駄の多い旅のルート。

9ヶ月ぶりに再びのスペイン。

久しぶりに味わうトルティーヤとチョリソーとセルベッサ(ビール)。
スペイン、やっぱりいい!
とは言っても、今回の目的は、オーガニックファームのお手伝い。
グルメ巡りをしに来たんじゃない。
有機農家に滞在するんだから、暫くは、チョリソーもセルベッサもお預けかな。

 

ファームの様子


二人兄弟の営む農場があるのは、マドリッドからバスで2時間、ニエバ(Nieva)という小さな村のはずれ。

兄のアルフレッドの本業は大工で、弟のラウロが主に畑を管理しています。

滞在中は、達哉がアルフレッドの大工仕事を手伝い、祥がラウロと一緒に畑仕事をしていました。

他にも僕らと同じようにこのファームに興味を持った人たちが何人か手伝いに来ています。

 

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左が弟のラウロ、右が兄のアルフレッド、忠犬のガラバト。最初、ラウロの方が年上だと思った。
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約2haの畑には季節の野菜とハーブたち。
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アルフレッドの工房。ここで加工して現場に取り付けに行く。
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リビング。天井に断熱用ストローベイルが敷かれていて、外が暑くても快適。

ファームでは、月の満ち欠けを基準にしたルーナーカレンダーで、種まきや収穫のタイミングを決めています。

そして、福岡正信の「わら一本の革命」に影響を受けていて、出来るだけ自然農の手法を取り入れています。

自然農とは、耕さない・虫や草を敵としない・肥料、農薬を使わない農法。
自然の営みに任せることで、自ら豊かになっていくという考え方です。

この畑も、小さな雑草は取らないし、肥料などの余計な栄養は与えません。
ただ、乾燥した気候もあって水は定期的に与えています。

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野菜も花も、木も、色々な種類のものが混ざっている。

 

自然に逆らわないスタイル、いい加減=良い加減が大切な自然農は、ラウロたちのリズムに合っているみたい。

 

てきとースタイルな二人


二人の暮らしを見ていると、何事もてきとーというか、自然体というか、自由。

 

アルフレッドと現場で作業の日、

休憩に近くのバーへ、(時刻は朝11時)
おばちゃんに迷わず、セルベッサとチョリソーとトルティーヤを注文。

「あれ?ベジタリアンじゃなかったの?」

「俺はフレキシビリアンだよ。ベジタリアンになる時もあるし、肉を食べる時もある。」

と言いつつ、ほとんどいつも、バーに行っては、チョリソーとセルベッサで一服。

ベジタリアンになる時なんて無いじゃん。

肉もビールも、暫くお預けと思ってたけれど、おかげで何度もご馳走になりました。

 

またある日、工房で作業していると、

「タトゥー(達哉)、ピンポン!」と突然アルフレッド。

「ピンポン?」

「ちょっとだけエクササイズしよう。」

「ちょっと待って、いま区切りにするから。」

「先に行ってるぞ。」
ファームに卓球部屋があるなんて知らなかった。

1ゲームだけして、また作業に戻る。

「眠気覚ましにちょうどいいだろ?」
確かにスッキリしたけれど、仕事中にピンポンでリフレッシュの発想は驚きました。

 

 

そしてラウロは、アルフレッド以上に自由奔放。

普段からよくジョイントを吸っていてフワフワしているラウロ。(スペインでは大麻の個人使用は合法)

ある日、
「ひき肉を貰ったから、今日はラザニアを作るぞ!」

と、はりきってソースの下ごしらえをしている。

「ラザニア、いいですねー。」

「お昼はラザニアだから。」

昼食の時間になって、

「ラザニアのソース、あと2時間かかるから、夜にしよう。ランチは他のものにしよう。」

「・・・」
そして、夕食前。

ソースは出来上がっている。

「ラウロ、ラザニアのシートは?」

「あー、シートは無い。」

「チーズは?」

「チーズも無いなー。」

「シートもチーズも無くてどうやってラザニア作るの?」

「・・・よし。このソースでスパゲッティを作ろう。」

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なんか急にアイスが食べたくなったから、ちょっと村まで買いに行ってくるよ。」「えー、今から?もう作業の時間なんですけど。」「まぁまぁ、アイス食べたら始めよう。」

 

ご馳走な野菜たち


そんな人たちに育てられた野菜たち。どういうわけか、本当に美味しい。

野菜って、育てる人の性格が、現れるものなのかもしれません。

滞在していた時期は、ちょうど収穫期。いろんな野菜たちを味わうことができました。

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トマト。乾いた大地が育てるトマトは、みずみずしくて、甘い。もはや果実。
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じゃがいも。えんどう豆と一緒に大きな鍋で茹でて、オリーブオイルと塩だけをかけて食べる、男のレシピがとても美味しかった。
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バジル。若葉を残して丁寧に積むなんてことはしない。豪快にバサバサ切る。
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契約宅配用の野菜セット。ラウロが週一でお客さんに届ける。
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ゴジベリー。(クコの実)生い茂った雑草の中に隠れていた。見つけて持って行くと、ラウロは植えた事を忘れていた。
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畑に堂々と生える大麻。スペインでは個人栽培は合法。けどあんまりたくさんはよろしくない。

スペイン時間でファーム生活


スペインの生活リズム。特徴的なのは、シエスタ(昼休憩)があること。

昼食は14時頃。そして、夕食は21時頃。これ、慣れるまで、結構大変です。

ここのファームも典型的なスペイン時間。

 

7:30 起床、鶏の餌やり、朝食

8:30~12:00 午前中の作業

夏場は比較的涼しい午前中の方が、外の作業がしやすい。

11時頃にメリエンダという軽食の休憩があります。
昼食が遅いのでこの休憩が結構大事。(アルフレッドと達哉はここでバーに行く。)

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オーストラリア人のグレッグと豆の収穫

12:00~14:00

ラウロ班は自由時間だけど、誰ともなく、その日の昼食を作り始める。
アルフレッドと達哉は現場。

14:00 昼食

ランチが一番大きな食事。皆で一緒になってガツガツ食べます。

15:00~18:00 シエスタ

一番暑い時間帯。ご飯を食べたら昼寝や読書、ギター、散歩など、自由に過ごします。

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イタリア人のフェデリカと一緒にガラバトの散歩。 ガラバトは本当に賢くて、首輪無しでもぴったりくっついてくる。 猟犬なので、野ウサギがどこかにいるとチーターみたいに走り出す。
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散歩の後はシエスタ。

 

18:00~20:00 夕方の作業

夏場はこの時間でもまだまだ明るいので、気温が下がるこの時間帯に再び作業。

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アーティストのフェデリカ。ファームの建物の壁に絵を描いています。

 

20:00~22:00 自由時間

自由時間だけど、また誰とも無しに夕食を作り始める。

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アルフレッドが近くの丘に、夕日を見に連れて行ってくれた。
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皆で夕ご飯作り。
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野菜はすべて畑で採れたもの。写真用に小盛にしましたが、テーブルには、他にも料理があり、いつもお腹いっぱい。

 

一応時間やルールは決まっているけれど、ラウロもアルフレッドも、あまりそれを守らないし、指示も出さないので、大雑把にこんな感じといった具合。

それでも、手伝いに来ている皆は自主的に動くし、2人もそれを信頼している様子。

例えば、今日の昼食は誰が作るかといった役割分担も無いので、最初は戸惑ったけれど、だんだんと慣れてきて、とても居心地の良い場所になりました。

 

スペインの大地で育てるオーガニック野菜。

ぜひ、訪ねてみてほしいファームです。logotatsuya-01

 

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