救急車で運ばれる

スペイン北部、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路。

 

一ヶ月かけて700kmを歩く道。
牛追いの古都パンプローナを出発し、今日で6日目。
幾つもの村を抜け、美食の町ログローニョに辿り着いた。

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7キロの荷物を背負って1日6時間ぐらい歩く。

 

道すがら、それぞれの目的を持って聖地を目指して歩く巡礼者達。

絆を深めるべく共に歩く父子の道。
気の合う仲間達と一緒にワイワイ歩く友達の道。
美しい風景を共有して歩く夫婦の道。
目標の達成を賭けて歩く一人の道。

 

国も年齢も色々だけれど、
「ブエン カミーノ! (良き道を!)」
道中で出会った時はこの言葉が挨拶。

 

道中の町にはアルベルゲalbergueという巡礼者用の宿泊施設があり、そこに泊まる。
辿る道は同じだから、前の町で同じ宿だった人と、次の町でもまた出会ったりする。
同じ道のりを歩いてるということで、すぐに皆打ち解ける。
夜はワインを一緒に飲んだりして、程よい酔いと、歩いた疲れでベッドに入り、
翌朝また、それぞれのペースで巡礼を続ける。

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道中の町、プエンテ・ラ・レイナ。

 

僕たちも、足の豆と重たい荷物に耐えながらも愉しみながら、ゆっくりとしたペースで進んでいた。
5日目、昨日のこと。
朝から胃の調子がおかしい様子のしょう。
それでも様子を見つつ歩く。
その日の目的地、ログローニョまであと10キロの村。

心配して、
「今日はこの村に泊まろう。」

「ログローニョまで行きたい。」

ログローニョにはしょうの見たかった織の工芸があるかもしれない。だから今日はログローニョに泊まってそれを探したいと話していた。

道のりは平坦、しょうのバックパックを自分が前に抱えれば、手ぶらなら大丈夫だろう。
ふたりでそう決めて歩き出す。

 

なんとかなりそうな歩調。
しばらく歩くと、彼方にログローニョの町が見えた。
みるみる表情が苦しそうになってくる。
視界に見えた目的地が、その時のしょうにとっては果てしなく遠かった。
「だめだ。痛い。」
胃痙攣。
道の途中でしゃがみ込む。

周りには大地しかない。今さら引き返すにも遠すぎる。というより、もう横たわったまま動けない。
しょうはストレスや疲れが、胃に来やすい。
メキシコでもパン屋で急に調子が悪くなり、おぶって運んだ。
新宿で映画を観ていた時も、館内の寒さと人混みのストレスで歩けなくなった。
エジプトを一人で旅した時もショッピングセンターで倒れている。

 

こうなった時、落ち着ける場所で痛みが引くまで安静にするのが一番。

時刻は昼過ぎ、涼しい季節とはいえ、強い日差しのこの時間は、暑さが堪える。

 

後ろから歩いてきた巡礼者が救急車を呼んでくれた。
救助を待つ間通り過ぎる巡礼者達が、皆心配して立ち止まってくれる。

「大丈夫? どうしたの? 」

「何か助けは要る?」

「糖分摂りなさい。ほら、このアメ舐めなさい。」
優しさが嬉しいけれど、皆に心配と迷惑をかけてしまい申し訳ない。
無理をさせてしまい、立ち止まる選択が出来なかった自分が情けなかった。

 

幸い、救急車が到着し、ログローニョの病院に着く頃には、痙攣も治った。
診察が始まる頃には、ほぼ回復し、点滴を打った為、元気が出て、
「チョコ食べたい。」と言い出すほど。

 

そんなこんなで始まりから一山あったサンティアゴの道。この先どうなることやら。
ひとまず今日は温かいスープを作って、おとなしくしています。
トラブルがありつつも、おかげさまでどうにか旅を続けています。 logotatsuya-01

 

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