魔法のきのこ|マジックマッシュルーム。メキシコの山奥にあるもう一つの旅

「メディテーションに良いんだ。」

「サンホセのキノコはすごいわよ。」

 

メキシコに来る前から、何人かの人たちに勧められていた場所があった。

「世界一の」キノコが食べられる村。サンホセ。

 

メキシコ南部オアハカ州。州都オアハカからバンでくねくね山道を進むこと3時間。
山道のバスはアホみたいにスピードを出すのが、よくあるパターン。その予想を裏切り、今日のドライバーは至ってゆっくり安全運転。

小雨の中、村に着いた。

寂しげ。霧のかかる夕方という時刻のせいもあってか、村は気怠い雰囲気に包まれていた。
バンを降りた正面にはツーリスト向けのレストラン。店先では従業員なのかその友達なのか、儲からなそうにぼーっと座っている。
通りには人が少なく、ぽつぽつとヒッピー風の旅人や果物売りのおばちゃん、それから犬たち。

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霧の立ち籠めるメインストリート

村周辺の山で採れるきのこは、もともと先住民の間で宗教儀式や病気の治療として使われていた。

きのこ。その効果が話題になり、学者たちが村に来るようになったのが50年代。
その後、60年代からのサイケデリックムーブメントで、きのこの幻覚作用を求めて欧米からヒッピーやニューエイジ達が訪れるようになり、一躍きのこの村として有名になる。

 

ブームが去った今でも、この村の顔はきのこで、興味を持った人間がちらほらと訪れる。

 

意図せず、きのこブームによって栄え、その景気時の惰性で、今でもきのこの村として在る。

気怠い感じは、こんな背景のせいなんだろうな。

 

きのこが彼らの文化の中で、どんな位置付けだったのか?
この地域では、霊的な物事がどういう風に捉えられているのか?

 

少しでもこれらを知りたくて来た僕たちも、村人から見たら興味本意の旅人に変わりないんだろう。
食堂の粉っぽいコーヒーを飲みながら、少し寂しい気持ちになった。

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村には至る所にキノコの絵が描いてある。

 

日没前、部屋(というか小屋)で瞑想を始めた。
自分の内側に意識が集中する。

 

久しぶりの感覚。

 

ここに辿り着くまでの数日がトリップだったように思えてくる。

 

この前に滞在していた町からオアハカまで12時間のバス。そこからすぐ乗り換えての山道。
長時間のバスで疲れた体、キノコへの期待でハイになる気持ち、そして村に着いた時の寂しげな空気、それらがアンバランスに混ざり、1日がかりの移動そのものが、普段とは違う次元の旅だったような錯覚がおきる。

 

こうして時間をかけて足跡を振り返ること、最近忘れていたな。
忘我の状態。自分を忘れる瞬間。時を忘れる瞬間。

 

大麻、きのこ、アヤワスカ、
ある人は物質に頼って。

踊る、歌う、太鼓を叩く、
ある人は行為の中で。

祭り、念仏、祈祷、
ある人は儀式の場の中で。

田植え、機織り、鍛冶、木工、
ある人はその営みの中で。

 

いろいろな開き方がある。
いろいろな色がある。
面白い世界。

 

でも、その中でもやっぱり、日々の暮らしの中で開いてる人。
これには敵わないや。

 

そんな考えを巡らせて、窓を見ると、外は闇。

 

山の静けさと少し湿った綺麗な空気。空は月明かりに輝く雲。
そうそう、きっと、この村の一番の自慢はこの豊かな自然なんだ。

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サンホセ、きのこがあっても無くても、素敵な所です。logotatsuya-01

 

ところでこちらは音の旅。
きのこを食べなくても旅できます。
低音の効くスピーカーでどうぞ。

国頭サバクイ/ harikuyamaku

 

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