イタリア、ハーブの知恵|手作りカレンデュラクリーム

東洋に、漢方やアーユルヴェーダがあるように、
昔はヨーロッパにも、ハーブを使う伝統医療の知恵(TEM)があった。
科学的な西洋医療で下火にはなったけれど、最近また自然派志向が高まって、
復活の兆しがあるらしい。

 

そんな中イタリアでは、ハーブの伝統がずっと守られている印象。
守られてきたというか、いまだに身近な存在という感じ。

街のあちこちに、ハーブでできた自然派化粧品や石鹸のお店があったり、
せんじ薬にする薬草やハーブ由来の薬しか扱わない薬局があったり。
家庭では、ハーブオイルやチンキ(薬)を手作りしたり。

 

教わりたいなぁと思いつつ、
けっきょくそんな機会には恵まれず、イタリアを去ることとなった。

 

フェデリカとの出会い


イタリアの次に向かったのは、スペインのファーム。

スペイン・ラウロのファームは、自由で適当。
(詳しくは、「ゆるーい百姓兄弟」参照)

ファームにあるもの何でも使って良かったし、やりたいことを何でもやらせてくれた。

「養蜂やってるから、蜜蝋がたくさんあるよ。ガーデンにカレンデュラもラベンダーもあるし、クリーム作ったり、何でも作ったらいいよ〜」

オーガニックの蜜蝋、使っていいの!?
でも、どうやって作るんだろう?
やっぱイタリアで意地でも教わればよかったー、誰か教えてー

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ガーデンには、何種類ものカレンデュラが咲いている。

 

ちょうど同じタイミングでファームステイしていた、イタリア人のフェデリカ。
天然素材の画材を使って絵を描くアーティスト。
フェデリカのHP 「IL MERLO

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ファームの倉庫の壁をペイントするフェデリカ。

 

イタリアのホームでは、友だちと一緒にパーマカルチャーの菜園とアートプロジェクトを運営しているという。

 

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紫キャベツやコチニール、ザクロの皮やナッツの殻など。自然素材の色素でできた絵の具を持ち歩いている。

 

優しい色合い、自然への愛、ストーリー、メッセージ。

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おやゆび姫
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樹や種子、綿毛のモチーフが多い。
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人間の表情も、意味深で素敵。

 

フェデリカは、植物にとても詳しい。
一緒にガーデンで作業していると、おもむろにそのへんの雑草をつまんで食べだす。

「これは消化に良い植物。サラダによく入れるの」
「これは肌のトラブルに効く花だよ」

私にとって雑草の森だったガーデンが、一気に薬草畑に変身。

 

蜜蝋のことをフェデリカに相談すると、

「カレンデュラクリームなら作れるよ。一緒に作ろう!」

と二つ返事。頼もしい。

 

カレンデュラクリーム


普段は、カレンデュラをオイル漬けにして、カレンデュラオイルを作っておくらしい。
でも、それには大体1ヶ月漬けておかないといけないらしい。
あと、ラベンダーのエッセンシャルオイルも必要だけど、ない。

「ん〜。調べたら、生の花でも作れそうだから、やってみよう。エッセンシャルオイルもないから、生のラベンダー入れちゃおう」

え?そんな適当でいいのかな?笑

 

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午後のシエスタの時間を使って、クリーム作り開始!

 

まず、蜜蝋を湯煎にかけて溶かす。
そこに、オーガニックのオリーブオイルや蜂蜜を適当に入れて混ぜていく。
(レシピには目安の分量があるけど、けっきょく個人の好みで調節)

 

次に、摘んできたカレンデュラの花びらとラベンダーの花の部分を投入。
湯煎で混ぜながら、30分〜1時間抽出する。

 

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様子をみながら、花びらを少しずつ加えていく。

 

最後に、ザルで漉しながら瓶に詰める。
蜜蝋は未精製だから、茶色い粉が底に溜まったけど、
上の方は綺麗な蜂蜜色!

 

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100gの蜜蝋から、ジャム瓶3個分のクリームができました。ちょっとオイル少なめにしたから、リップクリームくらいの固さ。

フェデリカにひと瓶、わたしにひと瓶、ファームにひと瓶。

 

生の花びらを使うのは、漉す時に大変だから、
やっぱりハーブオイルを作った方が、無駄もないし簡単かも。

 

肌から食べる健康


今回、使った材料は、
蜜蝋、オリーブオイル、蜂蜜、花びら。
全部食べれるもの。

「コスメだって、本当は食べられるくらいじゃないと」
カレンデュラクリームを作ってる横で、みんなと話す。

身体が摂取するのは、口(食事)からだけじゃない。
大学時代、The Story of Stuffのコスメ編(※)を観て、衝撃を受けた 。

肌から、衣服から、住居から…考え出したらキリがない。
デオドラントって何で出来てるの?
服の繊維に含まれる農薬や化学染料は大丈夫なのかな。
家だって、シックハウス症候群がある。

巡り巡って考えたら、
絵の具だって、目から入って、心の栄養になって土に還るわけだし。

 

ハーブは薬、といっても特攻性はない。
食事にしたり、お茶にしたり、クリームにしたり。
漢方と同じで、毎日の生活の中で、少しずつ摂っていかないと効かない。

本当に効いているかいないのかは証明できないし、
高熱や下痢とか、ひどい症状の時にはケミカルな薬に頼ってしまうけれど。

 

でも、エコとかビオとか、そんな難しいことを考えないでも、

 

自分が体内に入れるモノの内容、由来や背景を知っている。
自分の体調、体質、精神状態と、毎日向き合う。
そして、状況に合わせて、手作りしちゃう。

 

それだけですでに、楽しい暮らしになっちゃう気がする。

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この蜜蝋は、ラウロのミツバチさんたちから。ありがとう。

 

 

とりあえず、イランのバザールで買ったオリーブオイルに、ラベンダーを漬けてみる。

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イランのオリーブオイルは、果物みたいな香りがする。左のボトルはローズウォーター。どっちも食用だけど、髪の毛とか肌につけている。

 

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バザールには、オリーブのピクルス屋さんで大体搾りたてのオイルが売っている。

 

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オリーブだけじゃなく、ゴマ、アーモンド、クルミ、フラックスシードなど、種類も選べる。

 

日本に帰ったら、色々試したいなぁと妄想。
日本のハーブのことも、ちゃんと知りたい。
蒸留水、アルコール漬、オイル漬け…etc
石けん、化粧水、クリーム、軟膏…etc
フェデリカに、歯磨き粉の作り方も教えてもらったし♪

どなたか素敵なレシピや薬草を知っていたら、ぜひ教えてください。logo sho-01

 

The Story of Stuffより。日本語字幕つき

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