一歩引いてポートランド|創造都市となんちゃってオーガニック

「今、ポートランドはフィーバーしているの。」

「毎日街のどこかで何かが起こっているし、新しいものが生まれているわ。」

10年前にここに越してきたウルスラの言葉。ここ3〜4年の間に街は急激に変わっているのだそう。

日本でも雑誌やネットで関連する情報が見られるように、ポートランドは今、世界各地から脚光を浴びている。豊かな暮らしに憧れて、移住者は増え続け、もともと小さかった街は、今ではオレゴン州最大の都市になった。中心部ではいたるところでビルの建設が進んでいる。

この事自体は良い悪いではないけれど、

「静かな場所を選んでここに来たのにね。」

ウルスラの表情からも、大きくなる事で失われるものがある事がわかる。
都市の規模が大きくなれば、良いことも、悪いことも増える。

良い所、見習いたい部分にだけ目を向けていても、それだけで十分満腹になる。ポートランドはそれほど素敵な街だと思う。
けれど、少し斜に構えて見ると、ここもアメリカ。

街中には地域の食材を扱う商店もあれば、巨大企業の大店もある。
選んだ豆を丁寧に焙煎しているカフェもあれば、全米最大手のコーヒーチェーンもある。
誠実に調理し提供しているハンバーガーショップもあれば、多国籍企業のそれもある。
道路脇には「I’m hungry :食べ物をください」と書いたダンボールを持った人がよく立っている。
来る前のイメージは

「コンパクトで持続的な街」

だったけれど、過ごしてみて思ったのは、

「一つの特徴として、持続的な文化がある(一方で、消費的な文化もある)都市」

という感じ。

だから、逆に考えると、ローカルや規模の小さな店舗があること自体じゃなくて、それらがウォルマートやスターバックス、マクドナルドなどに引けを取らずに営めていることが素敵なところなんだと思う。

もう一つ、気になったこと。

なんちゃってオーガニック。(これはポートランドだけの話ではないけれど。)

例えば、この街にいくつもあるホールフーズマーケット。オーガニックがウリの大手スーパー。ナチュラルなテイストの店内は買い物をしていてなんとなく気持 ちがいい。各所にGreenやOrganicの文字。商品には “USDA Organic” (米国農務省認定)のラベル。
他のスーパーより少し割高だけど、「健康的な」食品を選ぶことができる。

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自然色を使った内装の店内。
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USDAのラベルが貼られている鶏肉。

ある家庭に泊めてもらい、朝食をご馳走になる機会があった。グルテンフリーのワッフルの上にタヒーニとカカオのチョコレートをたっぷりかけて食べる。飲み物は、砂糖の代わりにステビアを使ったソーダ。どれもホールフーズで売られている。ちなみに前日の夕食は、冷凍食品のベジバーガー。(USDA認定)
アメリカンなスタイルの「健康的な」食事。

オーガニックがファッションになっている。
というか、オーガニック産業。

ホールフーズはその路線で成功し、売り上げを伸ばしている企業。
アメリカ全土に300店舗近く展開する大企業が扱う商品はどのくらい信用できるんだろう?
健康なイメージの日本食の棚に置いてある椎茸は中国産。
安心の基準になっているUSDAラベルは?
USDA直属機関の所長のポストに、あのモンサント社関係機関のセンター長が付いている。参照

健康な物を選びたい人達と、そこを狙って上辺だけの「オーガニック」でマーケットを展開しようとする企業。企業はそれが戦略だし、消費者も善かれと思って買っている。だから非難すべきことではないけれど、 本当に健全な食べ物を作っている人たちやそれらを誠実に選んで販売している店舗の「オーガニック」との区別があやふやになってしまっているのは、やっぱり悲しい。
特にポートランドは良い所がたくさんあったから、余計にそれが気になった。

貧乏旅行中につき、安さ手軽さに負け、時に不健康な食生活をしている僕らが偉そうに言えることではないけれど、、
わかりづらい「オーガニック」を見分ける為にも、小さな規模、短い距離が大切なんだと思う。自分で育てるのが一番安心。それから顔の見える生産者、地産地消、知り合いの勧め。
そんな具合の循環がもっともっとできたらいいな。

ところで、 街で話したおじさんが言っていた。

「ポートランドはパーマカルチャーを学ぶのにベストな場所だけど、日本のMasanobu Fukuoka(わら一本の革命)の方がレベルが上だし、もっと理解が深いよ!」

そうなんだよね。わかってる。外に出ていつも気付かせられるのは、日本の文化の偉大さ。早くも、帰ってから見直したいことができました。

 

 

さて、
旅を続けよう。

このまま南に下り、メキシコ経由でジャマイカを目指します。

ちょっと早いけど気分はBob Marley。
タイムリーな曲は “Slogans”
“can’t take your slogans no more ”
そんなうたい文句はもういらない

“confusing the people”
人々を混乱させて

“no more sweet talk from the hypocrites”
偽善者たちの甘い言葉はもうたくさんだ

logotatsuya-01

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