循環の中で暮らす人|アリエルとげんちゃんの暮らし Mexico × Okinawa

気がつけば、メキシコに来てひと月が過ぎた。
この時期は日没が遅く、夜九時頃まで明るいから、一日は長い気もするけど、一ヶ月があっという間に過ぎてしまった。

今回は自然に近い暮らしの話。
メキシコの中部にある大きな湖、パツクアロ湖。ほとりには小さな村がいくつも点在しています。
その中の一つエロンガリクアロという村の奥にアリエルのファームはありました。

DSC_7076
パツクアロ湖を一望できる丘の上にあるファーム。可愛い家はアリエルのお父さんがセルフビルドで建てた家。

2ヘクタール強の畑では、バイオダイナミクス農法に沿って、無農薬、無科学肥料でオーツ麦、小麦、トウモロコシ等を育てています。バイオダイナミクス農法というのは、星座や月の満ち欠け等の天体のリズムに合わせて作物を育てたり、大地のケアをしたりする農法のこと。

下に見えるのがアリエルの畑。広いから人手が要りそう。ちょうど訪ねた翌日が種まきの日でした。手前にはナチュラルビルディングで建設中の新しい家。
もう一つの畑は、野菜類、ハーブ、サボテン、果物、花。蜜蜂やハチドリが飛び回っている。
畑に混ぜる為の有機堆肥。騒音や電気から遠ざけた場所で、温度管理もきちんとして、丁寧に育てます。少量を定期的に畑に加えていく。

畑の隣にはヤギ、牛、カモたちの小屋。ヤギのミルクは自家製のチーズに。カモは卵を産むし、雑草処理の役目もあります。時々捌いて食べることも。
小屋の隣にはフリースクールも建設中。シュタイナー教育に基づいた学校をこの秋にオープンする予定。アリエル自身もシュタイナー学校に通っていた経験がある。土地の材料を使った建物の中で学んだり、畑で採れた野菜で料理をしたり、動物たちの世話をする。自然の循環のなかで学べる素敵な場所になりそう。

大人しい仔牛。生まれて数ヶ月。お母さんと一緒にこの小屋に住んでいます。
ヤギのミルクで作ったチーズ。シンプルだけど濃厚な味わい。ワインと一緒に食べたい。
内装仕上げ中のフリースクール。

こうしたファームに加え、アリエルは村から少し離れた町に店舗を持っている。自身のファームの生産品に加え、他のファームの農産物や地元作家のクラフトを取り扱うお店。
店頭に立つ日もあれば、ファームで汗を流す日も。週末にはファーマーズマーケットに出店もするし、定期的に勉強会も開いている。今年の9月にはフリースクールをオープンさせる予定。やることは盛り沢山。

アリエルの生産品が並ぶお店。仲間と共同で営んでいる。

 

スペインがメキシコ統治を始める以前、先住民(プレペチャ族)が暮らしていた頃から、パツクアロ湖の豊かな水源に恵まれたこの地域は、農業や漁業が栄えていたそう。スペインの征服が始まった時も、プレペチャ族が地域を守るために戦ったため、メキシコの他の地域より文化が残っているし、スペインによる統治後も、有能な指導者によって農業を奨励された。

そうした背景のあるこの村に30年前、豊かな暮らしを求めて海外から多くの若者がやってきた。ベルギー、フランス、スイス、イタリア、アルバニア、ドイツ、、、。各国のヒッピー達が集まり、コミュニティが出来た。アリエルの父もその時に来た一人。だからこの地域は、オーガニック意識がまだまだ低いメキシコの中でも、有機的なライフスタイルに価値を見ている人たちが多いみたい。
そうは言っても、アメリカに近く、モンサントに浸食されているメキシコの農業事情。
巨大なビジネスの隣で営む小さなファーム。何か策はあるのだろうか?

「何故この暮らしを選んだの?」

「え?これがノーマルな暮らし方だからだよ。」

ごく自然で簡単な答え。
難しい理由なんてないんだよね。シンプルに良いものを扱うだけ。そっか。変な質問をしてしまった。

アリエルの生業は沖縄で暮らす仲間に似ていた。

「野菜屋元」のげんちゃん。沖縄で無農薬・無科学肥料の野菜を扱った商いをしている。
げんちゃんの生業はそれまでの彼の様々な経験があってこそ辿り着いたものだけれど、芯にあるものはシンプルなことだと思う。

「いいものを食べていたいから。美味いものを共有したいから。」

野菜屋元の出店@沖縄(写真はFBページから拝借)

日本でもメキシコでも、少しずつ彼らのようなライフスタイルをする人が増えてきているし、もっともっと普及して欲しいと思う。

メキシコのアリエル(33才)と沖縄のげんちゃん(24才)、いつか二人がコラボしたら楽しそうだな。logotatsuya-01

DSC_7105

One thought on “循環の中で暮らす人|アリエルとげんちゃんの暮らし Mexico × Okinawa

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です