中庭に集う人たち|ウズベキスタン、田舎のほっこり暮らし

ウズベキスタンは中庭文化。
そう感じたのは、外を歩いていても、暮らしの様子がなかなか見えなかったから。

日本みたいに垣根越しに庭の様子が見えたりすることはなく、壁や塀によって、はっきりと家の敷地と道路の境界がある。

サマルカンドやタシケントの都市部で、壁の向こうにある暮らしを覗くことができなくて、もう少し田舎なら、と期待してバイスン(Boysun)という村に行きました。

ところが、こちらも同じように壁だらけ。むしろ都市部よりも敷居が高い気もする。なかなか中の様子が見えないぞ。

がっかりしながら、それでも散歩を続けていると、塀の外に出ておしゃべりをしているおばちゃんたちを発見。

 

今回のお話は、おばちゃんたちが手招きをしてくれたことからはじまります。

バイスンの町。殺風景な通り。
バイスンの町。殺風景な通り。

中庭のある生活


たまたま通りかかった僕たちを、なにやら手招きするおばちゃんたち。

誘われるままに(実は期待していたけど)門をくぐると、そこには簡素な外観からは想像できないような、緑と木漏れ日のある空間がありました。

 

ウズベキスタンの民家の特徴。
L字やコの字に家を配置し、もしくは塀で囲い、外からの視界を遮った中庭には、家庭菜園、チェリーや杏子の果樹、そして中心に大きな木。その根元には団欒用の台 “小上がり”

この ”小上がり” がこの国の暮らしを見る時のキーワード。
最適な単語が他にもあるかもしれないけれど、なんて表現したらいいんだろう?靴を脱いで座る台のこと。イスとテーブルじゃなくて、皆が集まれるように台になっている。

 

家族が多いウズベキスタンでは、それぞれの部屋があっても、中庭の小上がりで皆が集まれるようになっています。

風も通るし、木陰だから、日中はここでのんびり過ごしたり、作業をしたり。

日が長い夏などは家族揃って夕食を食べたり。

 

 

中庭の案内が一通り終わると、「明日、ここでの夕食にあなたたちを招待するわ。」と嬉しいお誘い。

お言葉に甘えて、僕たちは翌日もまた、お邪魔することにしました。

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庭のチェリーをお土産用に摘んでくれたおばちゃんの娘。彼女が英語を話せたおかげて、いろいろ理解できた。

小上がりの上の団欒


翌日伺うと、家族が揃って出迎えてくれました。

小上がりの上にみんなが集まり、夕食が始まります。

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小上がり。この上に絨毯を敷いて、団欒。屋根が付いていることもある。

この日のメニューは伝統食のプロフ(ピラフ)。

羊肉と玉ねぎ、ニンジンを米と一緒に混ぜて炊き込みます。
レーズンやスパイス、季節の木の実が入っているのも特徴。

手を使って皆で一つの皿からプロフを食べるのが伝統的な方法だそう。

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美味しかったのが、庭で採れた果物のコンポート。
ジュースにして飲んだり、そのまま食べてお茶請けにしたり。
ヨーグルトに添えたり、凍らせてシャーベットにしたり。
サワークリームを添えてデザートの一品にも。

ジャムよりも砂糖少なめ、水を加えて煮詰めるだけ。
煮詰めておくだけで、傷まず保存がききます。

1〜3リットルの大容量ビンで保存されていました。
可愛いビンで保存するのも楽しそうです。

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木の下で手作りの食事を皆で囲みながらの団欒、中庭でのひと時はゆっくりと過ぎてゆきます。

 

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外国人が来ているという噂を聞きつけ、近所の子供達も集まってきた。

 

結婚パーティー


「明日は友人の結婚式があるから一緒に行きましょう。」

夕食を頂いた帰り際、今度は、結婚式に誘われて、またまたお邪魔することに。

 

 

昨日のお宅から歩いて数分のところにあるお家が今日のパーティー会場。
門をくぐると、すでに大勢の人が集まっています。

新郎側が用意するこの会には、例え知らない人でも、参加していいみたい。
多くの人を集めて盛大にやるのがウズベキスタン式のよう。

 

「あなたは向こう、彼女はこっちね」

 

結婚式は男女分かれて食事を囲みます。
男性は中庭に用意された席で、男同士しっぽりと。
お酒も飲まないので、ワイワイ話すというより、黙々と食事をする感じ。時折年長者の人が話して、周りがそれに相づちを打つ。

女性は室内で賑やかな食事。こちらはワイワイと話しが絶え間ない様子。写真を撮るためにカメラを持って入ると、色めき立つ婦人たち。

 

男女の違いはどこの国でも一緒みたい。

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賑やかな女性陣の席。次々運ばれてくる料理は、すべて新郎側が用意する。
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沖縄のカチャーシーのような動き。陽気なおばちゃん/お姉さんたちは沖縄を思い出させてくれる。

 

家族の繋がりと、地域の繋がり。

皆で食事を囲む時間があたりまえにあること。

小さな田舎町で、素敵な暮らしをする人たちに出会うことができました。logotatsuya-01

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大量のお土産を持たせてくれて、見送ってくれた皆様。

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