マヤの染織探訪|草木染めと腰機を体験した話

グアテマラ、またの名をマヤの心(臓)。
わたしにとっては、染織大国グアテマラ。
どんな染め織りが見れるのか、わくわくしてやって来た。

スペイン統治によって高機が持ち込まれたので、マヤ先住民の織りは、ほとんどが腰機 (または、いざり機など)。
腰当てや腰帯などで経糸を張って織る。織り機の原点、最もシンプルで原始的な織機。

ベテランのRosarioさん。大判ストールを織っている。一週間で仕上がるそう。
ベテランのRosarioさん。大判ストールを織っている。一週間で仕上がるそう。

 

今回滞在したのがアティトラン湖周辺のツトゥヒル族圏。
その中でも織の里のひとつ、San Juan村は草木染をして織るという話を聞き、
織物クラスを取ってみた。

アゼは“corazon=心臓”って呼ばれてた。肝ってことかな?

 

定番のスカーフの織り方を習うことに。
整経台はインチ尺。今回は100インチを整経。
経糸は丸羽の200羽。織り幅は10インチだから1羽約1.3mmも…
10算よりも大きい!

整経が終わったら、両端をビーム(棒)にかけ、
片方は固定し上から吊るす、アゼの方は糸綜絖を作って幅を整える。
織り始めれば平織りで、ひたすらざくざく。

手順に慣れるまで、時折フリーズ ( °△° )
ビームがただの枝だからぐねぐね、巻きとれば巻き取るほど、経糸を真っすぐに保つのが難しい。
お尻の位置を何度も直すけど、曲がってくる…。

なんとか仕上げたけど、ちょっとしょんぼりな出来。
でもやっぱり、織っている時間は楽しくて、あっという間。
無心だけど、色んなことが心に浮かぶ。

最後の方は、張力緩い箇所の緯糸が飛びがちに…。原因は、なかなか整経の手の強さが定まらず、経糸の張力がバラバラ。

 

他にもいくつかテクニックがあるそうな。
1羽の中の上下糸を二色にしたり、絽織を組み込んだり、などなど。

マヤの人々は、もともと3〜4種類の在来種の木綿を栽培し、スピンドルで手紡ぎしてきたのだそう。
あとはテキーラの原料となる竜舌蘭というサボテンから、繊維を績んで織ってたんだって。まだ見たことないけど。

スピンドルは羊毛にしか使わないと思ってたからびっくり。
一つスピンドルを購入し、旅のおともに練習。

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〜San Juanで使われていた自然染料〜

*añil=藍
主にエルサルバドルから、粉状の藍を購入し化学建てしているらしい。

写真中央の藍色の2綛。色の濃淡は、月の満ち欠けによるものらしい。
写真中央の藍色の2綛。色の濃淡は、月の満ち欠けによるものらしい。

 

*cochinilla=コチニール

主にメキシコから輸入しているそうな。昔はこのへんにもウチワサボテンがたくさん生えていて、コチニールを自給していたそう。
主にメキシコから輸入しているそうな。昔はこのへんにもウチワサボテンがたくさん生えていて、コチニールを自給していたそう。

 

*achiote=アチョーテ (annatto アンナット)

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料理にも使う、オレンジ色の粉。

 

*pericon=ペリコン(メキシカンマリーゴールド)

黄色。
黄色を出す基本染料。

 

*Palo de Campeche=ログウッド

媒染によって、紫や赤、茶色や灰色を出す樹皮。
媒染によって、紫や赤、茶色や灰色を出す樹皮。

 

*Caoba

茶色。
茶色。

 

*Chilka

黄色が出る樹皮。
黄色が出る樹皮。

 

*Guayava

薄茶、ねずみ色?
薄茶、ねずみ色?

 

*Coco=ココナッツの殻

ココナッツの殻。
優しい茶色?

 

*Sacatinta=サカティンタ
寒色系の青紫、経年変化はどうなんだろう?写真撮り忘れた。

*Palo de Sangre=直訳すると血の樹皮…。
薄紅色で桜の樹皮みたい。写真が見当たらない。

*Cortesa de Aguacate=アボカドの皮
茶系の橙色。これも写真が見当たらない。

沖縄で、研修生や組合の先輩方と、「それ綺麗!」「何で染めたの〜?」とか、きゃっきゃしてたのが恋しくなる。

「バナナの茎の煮汁で先媒染するんだよ」と説明を受ける。
バナナの茎にはタンニンが多く含まれる。黄色系や赤色系の染色をする時、分子の結合を良くするためにした、タンニン処理と同じなのかなぁ。

媒染までの働きは期待出来なさそう。バナナ自体、スペイン統治によって持ち込まれたものだから、マヤの媒染技術ではないってことになるし。。(Cavaさん談)

優しい色合いが多い。
優しい色合いが多い。

メキシコ・チアパス州にあるマヤ染織博物館(Centro de Textiles del Mundo Maya)に行ってきた。
説明資料によると、
スペイン統治後つまり16世紀以降、羊毛や絹が持ち込まれ、ヨーロッパにより高機が持ち込まれた。
産業革命後つまり18世紀以降、紡績糸が大量に入って来て、化学染料が自然染料に取って代わったそうな。
現在、自然染色技術を取り戻そうって動きはあるみたい。

チアパス州とグアテマラの国境周辺に多い縫い取織り。
チアパス州とグアテマラの国境周辺に多い、縫い取織り。

 

そもそも、スペインによりマヤのコデックス(知識の集大成)は奪われ、マヤの文化習慣は禁止されたため、染織技術の大半は失われていることになる。

スペイン統治前の織物が発掘された。
スペイン統治前の織物が発掘された。

 

マヤの村をいくつか訪れた。誇りの高さに比例して、物質的に貧しい暮らしをしている家族が多い。
歴史的な原因もあるけど、外から来たよそ者に対して厳しいし、お金にがめつい一面も。。
今回は、織物組合同士の妬み嫉みに巻き込まれ、痛い目をみた。

死んだばあちゃんが言ってた言葉を、母が伝えてくれた。
「貧すれば貪する」
どんなに才能や人徳がある人でも、日々の生活に困るような状態では、その才能を発揮できず、性格も卑しくなるということわざ。

沖縄の手花に似てる。
沖縄の手花に似てる。

 

ゆっくり時間をかけて、信頼関係を作らないと。
他の土地の織りも見たかったけど、かなり本腰いれてかからないと無理。
グアテマラ、また気合を入れ直してから、訪れたい国。logo sho-01

グアテマラ、XELA周辺。
グアテマラ、XELA周辺。

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