憧れの青の都|ウズベキスタン街歩き【サマルカンド】
ウズベキスタンという国がどこにあって、どんな人たちが住んでいるのかを知らなくても、
「サマルカンド」という名前は聞いたことがある人は多いと思う。
世界史の授業や、物語で登場するその名前の響きは、
どこかアジアの彼方にあるオアシス都市。憧れの場所だった。
ステップ気候と地中海性気候の間。抜けるような青空の下にタイルの青。
職人たちがひとつひとつ作り、それをひとつひとつ貼っていく。
出来上がった建物と、空のコントラスト。青が青を修飾する。
シルクロードの中心地として繁栄したこの街は、一度、破壊され、再建された歴史がある。
再建を手がけたティムールは、周辺の都市を征服し、財産、物資と人材をかき集めてきたそう。
連れてこられた技術者や職人たちは、どんな気持ちでこの建物を、この街を作っていたのかな?
残された美しい建築たちは、作り手の物語までは語ってくれないけれど、
丁寧に貼り付けられた一枚一枚のタイルから、
”きっと誇りを持って仕事をしていたんだろうな”
なんて、勝手に想いを読み解いていく。
建物の中に入り、上を見上げると、そこには宇宙を思わせる天井。
天文学を愛したティムール。
イスラム建築特有のドーム型天井は、彼の宇宙観を表現するのに最適な形に思える。
季節は初夏。
6月のこの街は、なかなか陽が沈まない。
19時を廻ってようやく空の色が変わってくると、街は別の色を見せてくれる。
暮れなずむ街っていう言葉が似合う。
傾いた太陽が青の街にゆっくり、少しずつ黄金色を混ぜる。
気温も下がり過ごしやすくなる時間帯、人々は外に出てそれぞれに過ごす。
青と青に気をとられていたけれど、この街には緑も多い。
広場の草木や街路樹とそこに集う人たちが、この時間の主役。
さっきまで伸びていた影が消えて、太陽が月と交代。
夜になった街は、ライトアップされ、また別の顔になる。
一番の名所、レギスタン広場は、夜になっても絶え間なく人々が訪れる。
僕たちのような観光客が写真を撮ってはしゃぎ、
地元のおばあちゃんたちは座ってゆんたく。
かつては式典や処刑などに使われたこの場所。
使われ方は変わったけれど、今でも人が集まる場所として、機能している。
憧れだった青の都。
青空だけでなく、夕空に調和し、暗闇に映える魅力的な街。
info:
サマルカンド(Samarkand)
ウズベキスタンの古都。アムダリヤ川の支流であるザラフシャン川河岸にあり、機械・化学・綿花・絹・皮革関係の工業が行われる。
人口約38万人(2001年)。気候は大陸性で寒暖の差が激しい。夏は乾燥して日中は40度近い酷暑となる.標高702m.
wikipediaより