[前編]キューバン・ドリーム|ここは常夏の楽園?

コロニアルな石畳に、容赦なく照りつける陽射し。うだるような暑さ。
まとわりつく湿気た空気に、ベトベトとにじむ汗。
映画のセットのような古い建物、その隙間から響くニワトリやブタの声。
所々、涼しげに揺れるバナナや椰子の木。
少し歩いては体力を消耗し、日陰ごとに休憩。

市場では、果実のようなアボカド、巨大な完熟マンゴーが並んでいる。
どれも、kgあたり数十円と、信じられない安さ。
配給所で売っている、一本50円のビールで暑さを凌ぐ。

配給所。その場で飲んで、ビンを返さないといけない。

チーノ!タクシー!と声をかけてくる道端でたむろしている男たち。
隙あらば小金を儲けようと、しつこく付きまとう。
歩く道々、笑顔を貼りつけ、ひたすらノー!といい続ける。

着いて早々、公共バスでお釣りが無いと言われ、10倍の料金をぼったくられる。
水を買うTienda(商店)もなく、宿で出された飲水はとてもカルキ臭い。
街は、道端やゴミ箱からの腐臭と、下水からの異臭で満ちている。

んん?
これが憧れのキューバ?
描いてたイメージと、だいぶかけ離れてるけど…

ハバナの旧市街。夕方はため息が出るほど綺麗。
ハバナの旧市街。夕方はため息が出るほど綺麗。

チェ・ゲバラとカストロ、キューバ革命。
その後の、医療の整備と教育の充実。
そして、アメリカの経済制裁により物資が手に入らなくなったキューバ。
食糧を自分たちで賄うため、国ぐるみで農業発展させ、
もちろん、農薬も化学肥料もないから、有機農業の最先端とまで言われた、はず。
建材などの資材もないから、建物や街並は建て替えられることなく古いまま。
新車なんて買えないから、ボロボロのクラシックカーを修理しながら使っている。
きっと、大事に大事にメンテされてるんだろうな。
きっときっと、キューバではみんな昼からラム飲んで、陽気にサルサ踊ってて、
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブで観たような、魂の音楽が街中に溢れているはず!

物に溢れている社会に対して、
“本当の豊かさ”への答えを、体現した国なんじゃないか!?
と、期待いっぱいに飛び込んできた。

ボロボロのクラシックカー。たまにガムテープで修理されている。

毎日、歩いてたり休憩してると、数百メートルごとに、

「Hola!今日は特別な日って知ってるかい?イベントがあるんだ」
って謳い文句で、葉巻を定価の2倍近くで売りつけようとしたり。キューバの有名な音楽映画をエサに、バーへ誘ってぼったくろうとしたり。
「安い食堂があるんだ、たった1ドルだよ!連れてってあげるよ」
と、食堂に着くと、急に値段が跳ね上がり、あまつさえ自分の分も奢らせようとしてくる。
あの手、この手でお金を巻き取ろうとしてくる。

あれ? キューバの人々は、物質的に貧しくても、心が豊かなんだよね?
どうしてたくさんの人がヒマそうに、一日中テレビ観たり、広場や道端でたむろしてるんだろう?
そして、一生懸命働いてる気配は微塵もなく、お金を搾り取ろうとしてくるんだろう?
どうやら助け合いの精神は、国単位ではなく身内だけへの限定的なものらしい。

片っ端から満面の笑顔で「No gracias‼︎」と叫んでバイバイする。
NOばっかり言い続けたくない、疲れる。

期待と現実のギャップに向かい合うのに、二日以上費やす。
期待が大きかった分、腹が立ってくる。
こっちが勝手に期待して失望しただけだから、相手を責めることは出来ないんだけど。

市場の様子。
市場の様子。

道端で、片足のない老人を何人か見かける。革命の傷跡だろうか。
生命をかけて、理想を掲げて、勝ち取った国。
その結果が、コレなんだろうか。

アメリカの星条旗を自転車タクシーに貼り付けたり、バンダナで巻いたり、
NYヤンキースの帽子やシャツを着ていたり、
アメリカのシャンプーやお菓子、コカコーラも売っている。
キューバのみんな、アメリカ大好きじゃない!?

期待していた有機野菜も美味しくない。というか有機の味じゃない。
(そもそも私のイメージしていた有機と違うのかも。。)
マンゴーは特別美味しくて、好んで買っていたら、
「時期外れのフルーツはナチュラルじゃないから食べない方がいいよ」
と、地元ローカルに忠告された。
つまり、化学肥料も農薬も買う余裕がないから撒かないだけで、
お金が出来たらケミカルを使う、、ってこと?

有機コーヒーが飲めると期待していたら、
キューバ全土で収穫されたコーヒー豆はハバナに集められ、
産地も関係なく混ぜこぜにして焙煎し、
粉末にされて、配給所で200gあたり4ペソで売っている。
焙煎のしすぎで、焦げ臭い。
みんなこのエスプレッソに砂糖を山ほど淹れて飲んでる。

牧場もたくさん見たのに、牛乳もすべて粉末。
肉も脂身ばかりの不健康な肉か、冷凍食品のようなソーセージ。
道で売っている食べ物は、ピザとレフレスコ(冷たいジュース)ばかり。
どこの食堂も、肉、米、キュウリ数切れ、アボカド一切れ、ユッカ芋一切れ、豆スープ。
(医療充実させる前に、食を充実させようよ!)
毒々しい青や緑色した洗剤を使って、生活汚水は川へ垂れ流し。
アメリカの残した葉巻と砂糖の工場と、バカルディの残したラム工場しか産業がない。

典型的な定食屋のメニュー。だいたい1ドルでお腹いっぱい。

キューバから聞こえてくるニュースは良いことばかり。

でも、レベルの高い医師団や音楽家など、一部の人がどんなに活躍していようと、
その他大勢のマジョリティーが、どう生きているかが大事では?

ハバナ、サンティアゴ・デ・クーバに滞在してる間、
こんな暑さと人間模様じゃ、出掛ける気も萎える。
唯一の憩いの時間である夕方は、海辺へ散歩して座る。
景色の美しさに、ひと時だけ煩わしさを忘れる。

港場の一風景。

 

キューバの人って、幸せを感じることがあるのかな?
私たちがツーリストだから、彼らの懐に入れないだけだろうか?
ぼーっとしながら、「本当の豊かさって何だろう」
って、大学生の頃のように悶々としていた。logo sho-01

 

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